Queeen/salco
 
果実
が毎朝運び入れられ、大鉢の発酵乳に添えられて食卓に供された。
 悪阻の季節が過ぎて女王の尻が洋梨のように熟れ下肢も浮腫み始める
と、西方の岩山に棲む筆頭まじない師のばばあが呼ばれ、「千年のお宿り
のみ栄え」という年代記じみた祝詞を唱えながら、黒ずんだ乳輪を瞳に見
立てた目を乳房に、みぞおちから下腹にかけては巨大な女陰を、尻には同
心円の水紋、大腿から足首にかけてあざみの群生を黄楊(つげ)のへらと鉄漿(かね)で描
いた。
 腹と乳房の文様は突き出して行くにつれて肥大化し、すると女王はます
ます淫らになって、昼夜となく愛人達と交わるようになった。妊婦のグロ
テスク
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