故郷を見失って久しくて/kauzak
セブンイレブンに買い物に出る
夜の旧国道はひっそりとして
思い出したように車が行き交うだけ
秋の虫がてんでに声を競う
聞こえてくるのはそればかり
淡い闇を纏う街を見ていると
何だか現実感が薄れてくる
肌に感じる風
歩きながら自分で起こした風
も熱を持たぬまま過ぎていく
夜の街の中で煌々と光を放つセブンイレブン
は神々しくもあって
未だ店頭に置かれている
公衆電話の緑色が綺麗で暫し見惚れる
光を風を空気を感じている
仮暮らしの思いはまだ消えないけれど
この街に僕は骨を埋めるはずなのだ
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