稚拙さの選択/真島正人
 


月が星を
睨んでいるうちはよかった
警告は三声で描かれ
そのために海が割れた

稚拙な頭が
季節から流れ込む空気を食らう
お椀の中に肉声を閉じこめ
黒人霊歌のようにして食らう
酸性の雨が降る朝
町を出た子供
待ちわびる親は
夫婦そろって本屋を経営している

おもむろに
形勢が逆転して
どうやら海が凪いできた
声が聞こえる
煩わしい人の声がふきとび
動物の声だけが聞こえる

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