対話/寒雪
効果音が飛び交う世界は消え去り
体内に染み込んだ言葉を出し尽くしてしまおうと
唇をあくせくと動かす
男は言葉の欲望を理解して
言葉を満足させる心を返す
時には首を傾げることもある
それも楽しい一風景
急ぎ足で通り過ぎる雲に
手を掴まれて月が帰っていく
男は朝焼けの情熱で火傷する前に
挨拶もなく唐突に消え去る
目を開けると
緑色に輝くサボテンが
やけに白々しいいつもの部屋
対話を終え
眠りにつこうと
瞳を突き刺そうとする太陽から
逃れるために布団をかぶった
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