対話/寒雪
 


窓から忍び足で差し込む
不躾な月光に映し出される
三原色な部屋の中で
目を閉じると
白い影の男が気配なく
同じポーズで座っている


頭の引き出しをかき回して
口元に浮かぶ言葉を
男に向かって投げつける
煮えたぎった言葉も
薄くスライスした思想も
男は月明かりに白く浮かんだ
輪郭を隠そうともせず
混じり気のない言葉を
同じトーンで必ず返す


男は白い影以外何も持たない
顔を覗きこむと
ピンボケな記念写真の中や
湯気で曇った銭湯の鏡や
掃除の行き届いたショーウィンドウや
様々な場所で見かけた覚えはある


話し言葉を持たない日常
効果
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