南へ/森の猫
あたしたちは
薄茶色のぺらぺらの紙を
役所に出し
南へ向かった
そこは
あたしが
なん度も なん度も
夢に見ていた
風景だった
コバルトブルーの海
水平線と空が
重なる
あたしは
彼の腕をしっかりつかみ
離れなかった
水辺に続く
板の道
その道は
あたしたちの
隠れ家へと繋がっている
あたしは
ピンクのピンヒールを
海に放り投げた
彼は笑った
白いシャツを脱ぎ捨てて
あたしを
抱きしめる
きつく
きつく
南の赤い星が煌く
その空をふたり
飽きもせず
見上げていた
星が導いてくれた
ふたり・・・
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