【連詩】 宵闇/古月
カンテラの甘き灯りに照らされて
次第に明るい賑わいの
なかにさらりと着こなしの
背中に帯のひとつあり
する、と抜け出して
目の中に泳ぐ人を捕まえにゆく
裸足で赤い星を踏み
鋏で結び目を断ち切り
いくつの錯誤だろうまた金魚だろう
びいどろの器を捧げ
彼方に空を仰ぐ時 その水越しの
ひかりにゆがむ面差しのまぼろし
掴みきれなかった袖のはしの温度を
知らない 指先は
記憶だけをさぐって もう
みえなくなる
映らない映せない灯、
つめたい橙。下駄を舐め
、うみおとす入射角 それから――
さかしま。絶えたのちの反射角、
翻って。
赤い尾がちらちらと揺れ
天の川に隠れてしまう
幼子の手を引いて
この子のななつのおいわいに
カンテラ 提灯 棘ぼんぼり
鱗みたいに澄んだ肌
百鬼夜光と星渡り
結び目を泳ぐ この子はあの子
ゆがむ、さかしま うみおとされる
ないている、ないた 星がきれい
知らない つめたい もう、みえない
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