「名」馬列伝(18) ノーザンポラリス/角田寿星
 

冬の中山、新馬戦。14頭立ての芝1800m。
ゲートが開いて一頭だけなかなか出てこない馬がいた。彼だった。
大きく出遅れて4角まではとことこ付いていき、直線だけでごぼう抜き。2着に入る。
ラジオ解説者が「ゲートの中でぼーっとしておったのにすごい脚を…」と興奮気味にまくしたてる。
彼の名前を胸に刻みこむのに充分な内容だった。

ゲートの出が悪いのは、解説者の言うようにぼーっとしてるからではない。
多くの場合は気が小さく、気性に問題があるわけで、その癖はなかなか治らなかった。
ほぼ毎度ゲート内で暴れ、立ち上がり、出遅れ気味にスタートしては、捲り気味に追い込んでいく。
それでも青葉
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