恋歌/寒雪
塞を
木っ端微塵にしてくれた
ぬくもりを与えてくれたのは
他の誰でもない
あなたでした
人を憎みたかった
激しく泣き叫びながら
この世にいる人間みんなを
呪ってしまいたかった
でも
ぼくは
あなたに出会ってしまった
だからせめて
ぼくに信じさせてください
人は決して
裏切るために生きているわけじゃないことを
人は決して
陥れるために生まれたわけじゃないことを
もうすぐ夏が来る
やがてぼくはいなくなるだろう
その時
ぼくのこめかみから滴る血液が
人の暖かみを感じさせることを
きみにわかってほしい
ぼくは
あなたが好きでした
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