「 季節とともに 」/椎名
季節が変わる
気づかないくらいにひっそりと
空が色を変え
風が匂いを変え
木々が葉を散らし始める
わたしたちは
何を見ているのだろう
雨が降り
雨が止み
日差しが少しずつ弱くなると
やっと
それと気づく
あたりまえの日常に
ふりまわされ
まわりを見る余裕すら
失っているのだろうか
風が吹く
風が吹く
季節を変え
ひとのこころを変え
そうして
時を流れさせていく
新しい季節を越え
次の春がくるころには
また華やいだこころに戻れるといいのに
しのびよる冬に
身構え始める
散り始めた枯れ葉を踏みながら
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