声の置場/
小川 葉
声を置く
場所がある
かつて
あなたの声が
聞こえていた
時に
声がなくても
時は
流れている
その琉心に
時々あらわれて消える
記憶の岸辺から
泳いでる
わたしが溺れそうになると
声をかけてくれる
声はなんだろう
わたしの名をよぶ声
やさしく慰める声
時に叱る声
ため息混じりに
そうでもないさと
語る声
言葉なのに
言葉ではない声が
わたしは
とても好きだ
声の置場がある
その時に
あなたはいなくても
今にも声を
あげようとして
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