秋色パレット/かとうゆえ
 

額にうっすら汗をかき
小走りで丘を上った17時半


乱れた呼吸を整えると
空と海の間に太陽が落ちて
辺りは瞬間 紺色に染まった

凪いでいた風が
急に冷たい空気を運んでくる

少し肌寒い。


月明かりで金色に光るススキが 
さわさわと
秋の訪れを告げる

裾に残る橙が
小さくなるのを見届けると
控え目だった満月は
ここぞとばかりに輝きを増す


ふふ、と小さく笑って
私は丘を下った。
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