純 潔 1/
るか
息づく、生命の、青い匂いを嗅ぎ、言葉と、言葉の
隙間から洩れる、かなしい喘ぎに、くるしい、胸が
くるしいよ、思い出していた、おれは遠い故郷の海
を思い出していた、岸壁に砕ける波頭の白さ、空は
いつも、拒絶するように青かった、故郷にいて、何
もかもが自分からは遠かったのだ、いつもこの横溢
を、生命を、拒絶するような慣習ばかりが、あ、お
れを締め上げていた、
何十にも巻きついた臍の緒が取れない赤子なのかも
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