純 潔 1/るか
 


         息づく、生命の、青い匂いを嗅ぎ、言葉と、言葉の
         隙間から洩れる、かなしい喘ぎに、くるしい、胸が
         くるしいよ、思い出していた、おれは遠い故郷の海
         を思い出していた、岸壁に砕ける波頭の白さ、空は
         いつも、拒絶するように青かった、故郷にいて、何
         もかもが自分からは遠かったのだ、いつもこの横溢
         を、生命を、拒絶するような慣習ばかりが、あ、お
         れを締め上げていた、
         何十にも巻きついた臍の緒が取れない赤子なのかも
     
[次のページ]
戻る   Point(2)