案山子革命/プテラノドン
 
 億ヘクタールの 芳醇なる農地と引き換えに 
案山子はカラスたちの力を借りて、革命を成功させた。
おかげでメリーゴーランドの木馬は次々に死んだ。
生き残りもいたが、
そいつらはクビになった。あるいは商売人に売り飛ばされた後、
無償で施設をたらい回しにされた挙げ句に野となれ山となれ。
で、運良く逃げだしたとしても―日雇いでしのぎつつ 
事態が好転する機会をうかがうか、
スナックに潜り込めたならたいしたものだ。
ことさらひどかったのは 百姓に捕まった連中で、
女子供もみな杭で畑に縛り付けられて、カラスの生贄にされた。
三日もたたずに身体じゅう穴だらけ。
(是非とも案山子の苦しみを味わうがいい)
額には 近所のガキ共が挨拶代りに突き刺した鎌や、木の枝。
 そしてついに、木馬は絶滅したという。
だから君が見た 
木馬に跨り 片腕を上げた案山子は
嘶く声に宿る悲しみの逝く果てを予感していたに違いない。

もしくは もう一度
手綱を握るその手で
自分の首を吊るすつもりだったのかも―

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