ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも/森本隼
 
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
そうすればみんな心配してくれるから
優しい人ばかりじゃないけど
声をかけてくれるから

ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
多くを知ってしまったから
中途半端に考えることを覚えてしまったから

ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
すでに他人が似たようなことをやっていて
脱力感を覚えたから

ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
それが無難だったから

ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも

もううんざりだ!

ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
ぼくは承知している


「黒猫手帖」、第一詩集「心」から
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