ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも/森本隼
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
そうすればみんな心配してくれるから
優しい人ばかりじゃないけど
声をかけてくれるから
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
多くを知ってしまったから
中途半端に考えることを覚えてしまったから
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
すでに他人が似たようなことをやっていて
脱力感を覚えたから
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
それが無難だったから
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
もううんざりだ!
ぼくの言葉がかぼそくなってしまったのも
ぼくは承知している
「黒猫手帖」、第一詩集「心」から
戻る 編 削 Point(1)