彩り/森本隼
君の顔が浮かぶよ
いやだ、ウソ
無理やり思い出して
目の裏に焼きつけようと
してんだ
君が確かにぼくのまえに居たこと
それさえ消えいってしまうのが悔しくて
過去になってしまうのはもうしかたない、でも
愛されてたんだと せめて
こんなことをくりかえしても ぼくは
忘れてしまうんだろう
次の恋をすれば
それまで
ぼくの思い出を彩ってよ
君がだれかと性交中だとしても
ぼくに黙って秘密をつくっていたとしても
いつか行った場所へ赴いていたとしても
携帯のメモリーにぼくが残ってたとしても
彩りを失ったとき
君は旅立つんだ
※「黄金の月」へのオマージュ
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