かこのないひと/こしごえ
 
いま
空は
無色透明の雨
宙を切って黙礼をする
中性の直線
― 今日はこれといってなにも無い日ね
黙りこくる空
青ざめる
― お花がきれいね
(いつでもいまである)
どくだみは縁の下に咲いて
この日をまっている
いつの日も
暮雲は帰らない
月の青さに

影は無機質に微笑むか
何者であっても
何者へも
暗く透けている影であろうか
いま
限りなく

下着が透けるほどぴったりと
はりついてしまっている衣服をきがえる
ぬれてしまい
欠伸をかみ殺す
耳鳴りが
鳴っているけれどなにが原因か

自分にもわからない。
どこかで星がうまれてはきえ
きえてはうまれ

水玉に映る
輪舞する影の
いま
空は








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