ポチの消滅/テシノ
得がいくし、そうだとしたら裏切ったのはポチではない、私の方だ。
しかし当時の私には、そこまで考える余裕も脳みそもなかった。
ひたすらにイヤイヤをして、その後何日もポチの所へは行かなかった。
ポチとの思い出はここまでとなる。
私が彼と喧嘩をした数日後、カトウさんちに泥棒が入ったのだ。
ポチは一声も吠えなかったらしい、それが主人の怒りを買ったのだろう。
ポチがどうなったかは知らない。
母からは、カトウさんには田舎に親戚があり、ポチはそこで暮らす事になったのだと説明された。
そして私は次第にポチの事を忘れていった。
母と一緒にポチの所へ行った時の、あの心のざわめきは一体なんだっ
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