ポチの消滅/テシノ
私にとって人生初の友達は、カトウさんちの犬ポチだった。
私の記憶の一番古い場所にあるその姿は、大きくて逞しいボクサー犬だ。
しかし家族に言わせると、ポチは茶色い普通の雑種犬だったらしい。
当時住んでいた住宅地には私よりも年上の男の子ばかりしかおらず、私もポチもしょっちゅうその悪ガキ達にいじめられていた。
しかし彼等は朝から夕方まで小学校に拘束されていたため、日が高いうちは私とポチの天下だった。
名前からもわかる通り、ポチは実に簡単な気持ちで飼われている犬だった。
門のそばに置かれた小屋に鎖で繋がれており、「よそのお宅に勝手に入ってはいけません」という母の言いつけを真面目に守る私のた
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