ふれぬそで/AB(なかほど)
 

そろそろ
おしゃかさまがそでをふるころだ
といわれて
もう
はっぴゃくとにじゅうねん
それから
さいごのおさばきがあるといわれて
もう
せんとじゅうねん
かみもほとけも
ずいぶんかんようなのに
ぼくらは
あいかわらずたわいのないことで
めくじらをたてる
たわいのないうちに
ないておこって
くちぶえふいてしまおうか
それが
あいかわらずのしあわせ
ひとりとひとりは
とてもなさけなく
とてもよわく
とてもさびしがりやで
だから
とてもやさしいんだね
その
ひとりのきみが
ひとりのだれかをあいするとき
ないそでもふれるだろう
それは
すべてをなぎはらうのではなく
たとえば
やさしくあたまをなでるもので
ひとりがひとりのために
さいごのひに
いいわたすことばも
みはなすのではなく
やさしくだきしめるためだろう
おうい
ってとおくから
てをふるきみに
ぼくも
ふるそでもないのだけれど
きもちいっぱいでふりかえす





即興ゴルコンダより


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