朗読(2)/プテラノドン
 
 視聴率と人口比率を省みないテレビの占い。口コミ。
寝起き女の話す声と、受話器の向こうの笑い声。
ベットの上で本を読んでいた男の、内容とはほとんど関係なく
呟かれた声は 煙に巻かれて為すがまま。それと同様に、
ゲージに閉じ込められた鼠のか細い声は、カラカラと駆け巡る、
例の音に巻きこまれていて―数時間後。インターホンが数回鳴り、
予てから取り決めていたかのように女が言う。
「電気屋よ。」唇に人さし指を当てながら。
扉の隙間から落とされた紙切れには、メーターに刻まれた数字が
そっくり写されていた。それら数字とは無縁に、
玄関先で読み上げた男の声は愛が為す業。
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