土管/岡村明子
 
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜

土管の外側は小さなタイルのモザイク模様
明滅する街路灯に照らされ
濡れたようにきらきらと
昼間の喧騒を拭い去っている

両側に円く開いた景色は
風景画のように動かない
開いているのに閉じているこの空間で
子供の恋は大人に知られることなく
ただひっそりと
体温が伝わることを確かめあった

土管の外に
ランドセルふたつ

寒そうに
身を寄せ合って

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