やがて死ぬ でも それで良い/うめぜき
確か
音楽は聞こえていた
かすかな光に包まれていた
天使がいたかどうかは覚えていない
けれども
私は生まれていて
私は泣いた
今
この、今
あなたの頭上に
幾重にも
音楽が降り注げと
私は揺れる
呼吸する
重たい
やがて死ぬ
でも
それで良い
ただ
ただ一度だけ
もう一度だけ
誰かに死ぬほど愛されたい
目が覚める
音楽は聞こえない
天使も舞わない
だが空気がどこか弾んでいる
きっと
どこかで
誰かの産声と泣き声とが響いている
音楽は何処かで
誰かの為に響いている
涙が蒸発できずに
胸元で熱を帯びている
そうか
蒸発できないのか
と
独り語ちてみる
戻る 編 削 Point(1)