土喰子/斗宿
小さな目
小さな手
枯れた指
伸びようとする背の
愛おしさに
震える腕で筆を持ち
涙の雫で絵の具を溶いた
土喰子らのみせる笑顔を
描き留めるただその為に
ああ
土喰子の夢に花を
土喰子に朝の光を
子らの行方に待つものが
焔立つ夜だけならば
わたしはもう何もかも
何もかも信じはしない
この無力な手の平がつくる
わずかばかりの窓の灯で
土喰む子どもら幾人の
大地を緑に照らせるだろうか?
子らを数えた指を止め
最後のひといろを刷く
土喰子らが喰み終えた
赤く枯れた土塊(つちくれ)で
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