God Bless You/寒雪
 


TV画面から
無造作に飛び交う
紛争地域の凄惨な映像
脳内に映りこむ
絨毯爆撃を目の当たりにして
数ヶ月前
彼の地を訪れたことを思い起こしていた


そこにはまだ
戦車も戦闘機もなく
普通の人々が
いつものように営む生活があった
普段より近くにいた太陽が
額に汗を浮かび上がらせる
たまたま出会ったおばあさんと
持っていた扇子について話し込んだ
旅の記念にと差し上げたら
すごく喜んでくれた
代わりに彼女が首から提げていた
ネックレスをくれるという
交換出来ないと辞退したが
無理矢理ポケットにねじこまれた
別れ際
彼女が微笑みながら口にした言葉は
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