林業/一 二
 
林が必要とされなくなって
その涼しい木陰も
葉摺れの音も
そこで遊んだことも
働いたことも
昔の思い出となってしまった

もう風が木の葉と戯れ
快い響きを奏でることも無くなり
林の周りの川面に
その姿を映すことも無くなってしまった

私の大好きな杉が茂っていた
この川岸を私が始めて見てから
十八年の歳月が経った

杉は今では倒木となって
草に埋もれてしまい
かつて緑の木陰を恵んでくれた
思い出は私の腰掛となっている

私の馴染みの鳥たちも
暑さを避ける木陰を求めて
まだ生きている林にでも
逃げていったらしい
以前はここであの鳥の
美しい音色に魅了
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