指先の向こうには/AB(なかほど)
 
  一

窓から見える
白い
卯辰山

きれいだね
と言えなかった

のに

君は
微笑んでいた



  二

フェンス横
に自転車


ゲイラカイトは


  高く

    高く

  高く


帰る
とこへ



  三

そこには
今でも伝えたいことがあるのに
子供の頃の魔法は
もう使えない

忘れてしまおうか



  四

おいでおいで
しゃぶった指で障子紙 ぷす
さて その指 抜いたら
三輪車に乗る僕
を押しているのはだれ
体の弱かったのはどっちだったっけ
四畳半の世界で
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