残していくきみへ/寒雪
 


あと余命半年です
目の前に座る
眼鏡が似合う医者に
冷静に告げられた時ほど
冗談であってほしい
そう思ったことはなかった
その言葉に続けて
医者が何か言っていたけど
もう何も聴こえなかった
音が存在しない世界にいるみたいだ


昔から
奇妙に運命の引きが悪かった
誰でも当たるはずの
もれなくプレゼントが届かなかった
かと思うと
列車脱線事故には三回も遭遇した
だからなのだろう
三十代なのに
こんなこと言われてしまうのだ


その夜
ぼくの腕の中には
すやすやと眠るぼくの息子がいた
ぼくがいなくなったら
きみはどうなるんだろう
激しい不
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