【連詩】 三軒目の鴉/古月
あんまりおなかが空いたのでわたし、
針金をのみこんだのでした
モビールの鴉のお腹から
ぬきだしたいっぽんのあばら骨、
が
するすると引っ張ると
するするとどこまでも伸びてゆくので
校庭のはしっこ。
までではぜんぜん足らなくなってしまって
わたしの空っぽの渡り廊下は(はしらないで)
あなたにとどかないまま(ひとり、
ひとり)下校のチャイムがひびいている
帰り道は/海
電線のつづく空をみていた。
「どこへかえるの?」
/潮騒と歩いて
急落する鳴き声
単色の漁り火
点滅する
鳥たちは旋回し
胃液が沸騰する夜に
追いかけてくる
海鳴り
やがて夜を追い越
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