訣別/佐々宝砂
希望があるから絶望があるんである
絶望したくなかったら
希望なんぞ持たぬがよろし
数独を解くのに飽きたわたくしは
今日七杯目の焼酎をつぎながら
わたくしの幸運なる結婚生活について
(たまには)神妙に考えてみる
わたくしが訣別すべきは
酒であり
ネットであり
向精神薬であり
おそらくは詩であろう
などと言う舌の根はさっさと乾くので
わたくしは七杯目の焼酎を口にする
すっからかんに
あっけらかんと
からっぽな
わたくしの心には
風も吹かねば雨も降らない
ただ乾きがちではあるから
酒を飲むんである
希望がないので
絶望がない
そういえば
訣別はもう済ませてきたんだと
グラスの中の氷が
ささやいている
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