芸術論/小川 葉
 
 
 
お前はまちがっている
と言われたって
世の中がまちがっているのだから
正しいかもしれないだろう

けっきょく
誰にもわからないのだ
ただ、ここに居ては
いけない気がするだけなのだ

あなたはまだ
ここにとどまるべきだと
信じているのかもしれない
けれどもいつか
私と同じ気持ちになる時が
やがてあなたにも訪れるだろう

いつか誰もが
まちがったことをして
そのまちがいを
正しさだと信じて
生きていかなければならない時が
必ずくるのだ

そしてあなたは
その時また
お前はまちがっている
と言うだろう
私はふたたび
ここに居てはいけないと
思いはじめているからだ
 
 
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