ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
圧がのしかかってくる、それは、この二十畳はあるだろう奥行きのある部屋に集う14,5人の視線からいやおうなしに襲い掛かってくるものだ。それぞれが思い思いの服装をしている。うる星やつらのラムちゃんのコスプレをしてる女性や、俺が尿を出してる時に着替えたのかさっきの農夫は半そで半ズボンで虫取り網をもっていたり、ガウン姿の大男が腰掛けているパイプ椅子の真後ろの壁面には画用紙に描かれたエルビス・プレスリーの絵が垂れ下がっている。そして薪から煙があがりその絵もおぼろげになっていく。炎がパチパチと。ふらりと入った喫茶店に、自分以外のものが皆知り合いだったとしたら? なにか居心地が悪いというか、場違いなところに足を
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