ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
「いやはや、オレもとんだ変態にされちまったもんだ……」と棒台詞のようにつぶやきますます顔を赤くさせた。才知がありそうな顔立ちをした女の子。
こうして、俺たちは農家へと足を踏み入れたのだった。
16 杏の匂いよ、なぜふくよかなその口から
暖かい暖炉がともされたその横に少年がいて、手作りボックスの上のティッシュを一枚とると手で丸めて、球状にし、放り投げ、落下すんぜんで右足でキック。それが俺の体を直撃した。俺はしばらく気絶していたのだろう。もんどりうって倒れて、床でもがいていてなかなか起き上がれなかった。暖炉に薪がくべられてってた。ブロンドの髪をした娘の手で。俺の肩に重圧が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)