ボーダーライン/寒雪
 


ある日
彼と彼女の間に
見ることの出来ないインクで
果てしなく続く
一本の境界線が


伸ばせば繋げた手も
近づけば触れられた唇も
境界線が弾き飛ばす


今までと
風景も
時間も
彼も
彼女も
何一つ違わないのに
見えないものが
二人を別々に引き裂いた


乗り越えることが出来ず
ただ立ち尽くす二人を
天空から太陽が
変わらない光と熱を
浴びせ続ける


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