缶コーヒー/
アマメ庵
自動販売機の 無骨な音は変わらないのに
近頃の 缶コーヒーは旨い
低気圧が近づいて 波が高い
海水混じりの風が 鼓膜を揺らし続ける
俺は 不味いコーヒーが飲みたかった
歯が溶ける甘味
タバコの灰を吸った後味の悪さ
行き場を失った苦渋
飲み干したかった
スっと染むコーヒー
「うまい」
上辺ばかりで そっけない
大人になるってことは そう云うことなのか
プルタブを中に落とす
まだ曲げられないと独り言つ
力を込め スチル缶を握った
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