病床の窓辺/モリー
 
私は寝ころび空を見上げる
病床の窓を通して

流れゆく雲は次第に形を変え
何かに似せては崩れてゆく
また、青は
濃淡で季節を告げ
気がつけば鮮やかになり
気がつけば冷めてゆく

雨が降れば窓を閉め
柔和な光や外界を絶った

今日の空は一段と青かった
漂うものは姿を変えることなく
横目で私を睥睨し、行った

淡く白い部屋の中で
それらを見送ったあと
ため息と同時に私は認識した
私が流されているのだ、と
何処か感触のない所へ這っているのだ、と

そうだ
壁に反響する咳音に聞き飽き
孤独に老いゆく私は
祖父のような手を
まだしていないではないか

電線が揺れ風が吹き込む
きっと気の早い春が二、三匹紛れ込んでいるのだろう
私は息を吸い、少し止め、そしてはいた

私の涙は透き通っていて
病床の窓辺
希望のようなものが心に硬くしこった
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