固有運動/寒雪
 


ぼくの生きてきた年月
きみの過ごしてきた人生
それぞれが時を経て
今軌跡を辿りながら
交わり合う
その喜びを感じながら
ぼくはきみを抱きしめる


寝付けない夜
ベランダから
名前も知らない
光瞬く星たちを眺める
ベッドで寝息を立てるきみとの
幸せなひとときは
いずれ形を変えていく
刹那交わった軌跡は
やがて通り過ぎて
ぼくらはまた他人に戻るのか


もしそうであるなら
少しでも時間が
長く留まっていられるよう
ぼくは祈るしか出来ないのが
もどかしかった
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