スカイツリー/大覚アキラ
た子どもたちだけが
そこで
うつくしい人工の星空を見るのです
おれは
もう子どもじゃないので
そのプラネタリウムを見ることはできないけれど
できることなら
おれの子どもにはそれを見せてやりたい
白い塔から
真っ赤なリンゴがひとつ
スローモーションで
落ちてくる
そのリンゴが地面に叩きつけられて
粉々にはじけ散って
アスファルトの上の薄汚い染みになる
その直前の
0.001秒の瞬間に世界を凍らせて
その瞬間が永遠につづく
そんなことを想像をしながら
おれは
白い塔の真下で
死んだふりをする
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