夏/一 二
 
君を夏の一日に喩えようか
君は更に美しくて
更に優しい

夏の日差しは全てを等しく照らすから
心地好い虫の音はあまりに早く過ぎ去る

輝くばかりの新芽や花弁は
刻に陰らす雨雲によりその色を失う

そしてどんなに美しいものも
いつも美しくはなくて
偶然の出来事や自然の変化に傷付けられる

併し君の最も美しき夏が過ぎることはなくて
君の美しさが色褪せることもない

この数行にて君は永遠に生きて
死はその暗い世界をさ迷っていると
得意げに言うことは出来ない

人間が地上にあって盲にならない間
この数行は読まれて
君に生命を与える
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