偽者と本物/寒雪
に帰って
鏡を見ると
鏡の向こうにいるぼくが
一瞬にやりと笑った気がした
おまえが画策したことなのか
抱えていた不安が
一気にぼくの表に噴き出す
大きな音と共に
バラバラに砕け散る鏡
破片の一つ一つにぼくが
小さく細かく映ってる
一体何が正しくて間違っているのか
ぼくには理解出来ない
酒のせいかもしれなかったけど
自分が知っている自分が偽者で
他人が知っている自分が本物
正しいんだろうか
明日の朝
太陽が寝起きの悪いぼくを叩き起こして
頭がすっきりしたら
もう一度
ぼくの人生が正しいのかどうか
考えてみることにする
今はただ眠気に身を任せたい
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