うそっぱちぶっくす/真島正人
{引用=
夜と夜を縫い合わせて
足を組み替えて
電車のシートで眠った
体中の
軟骨に混じりこんだ鈍器が
ゆっくりと再整備されるような気がした
嘘っぱちばかり
書かれた雑誌が
僕の頭の中で
開かれた
読んでいるのは誰だろう
どんな顔をして
読んでいるんだろう
そいつはきっと
薄ら笑いを浮かべて
目から涙を流しているに違いない
涙は青い
涙は若い
涙は白い
涙は老人だ
涙はもろい
涙は恐ろしい
涙にばかり頼っているから
そいつは
涙そのものになりかかっている
存在の色合いが薄れ
大気に混じりかけている
そんな調子だから
僕の中に入り込んで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)