石ころ/
小川 葉
欲望にはかなわずに
まあその辺は
勘弁していただいて
いくつかの
間違いもございましたが
おかげさまで
今こうして
なんにもない、に
なりました
とでもいうような顔をして
石ころひとつ
土の上に転がっている
雲が流れれば
風のゆくまま
雨が降れば
水のゆくまま
日が照れば
お天道様の言うがまま
生きていた頃と
さして変わることなく
死んだことも知らないで
今ここにある
石ころよ
父の魂よ
息子の声が聞こえるか
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