ションベンひっかけて/虹村 凌
 

悪いな

唇を離してから下手でごめんねって笑ったじゃん?
そんな捨てられた犬みたいな目をするなよって笑ったじゃん?
もうオマエに話す事なんて無いって笑ったじゃん?
今でも好きなんだよね
笑うなって

***

酒を飲めない俺はコーラを飲みながら
下らないポエムにも歌詞にもならないものを書きながらポテトチップスを齧る
自分でそう言ってしまう卑怯さの自覚があるから尚更手に負えない
始発の電車の音がその意識さえも運んで行く
未練たらたら湘南台の空にぶちまけた妄想
未練たらたら赤羽のアパートに置き去りにした夢
未練たらたら牛込神楽から引きずったままの夢
未練たらたら新宿の喫茶店でしみになったままの夢

あの日の俺みてぇな童貞達が繰り返している以前の光景を眺めながら街を歩くけれど
相変わらず落ち着く場は無くあてもなくブラブラしている状況は変わらない
味覚音痴なビッチ達が髪の毛を濡らしたまま
アメリカの上澄みを全身に塗りたくった包茎達をぶら下げて薄笑いを浮かべている

ざまぁねぁや
国会にションベンひっかける度胸も無ぇ俺は
戻る   Point(1)