少女の手/朧月
 
少女はこともなげに言う

おばあちゃんがいなくなったら
私がしてあげる

老女は静かに笑う

いてもいなくなっても
あんたがやってくれるか

受け継がれるとは空気のよう
暑いなりに せつないなりに

小さな手の平が
薄くなり深い溝のある手に触れて
一瞬
ふふ と笑う少女にはなにが見えたのか

狭間にいる私は
息苦しいまでの世界をみる
ただ
まわりの音から
二人を守るように立っているしかなかった


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