鈍い感覚器/kauzak
 
言葉に鋭敏になろうとする僕は
言葉から復讐される

言葉で顕わになどできやしないと
世界は刻一刻と産まれ続けるだけだと

跨線橋の階段を登って行く
夕焼けは淡く世界を染めている

この瞬間もかつて存在した夕景と
同じ風景ではない

同じだと感じるのは
狂わぬための感覚器の鈍さ

言葉に鋭敏になろうとする僕は
それだけで狂おうとしているに違いない
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