わかされを条件反射で進む釣り師/北村 守通
ティペットが
アイに通らなくなってきた
おそらく
それは右眼のせいであった
自分が思っている以上に
自分自身の
メンテナンスが必要だった
フライロッドにも
リールにも
ラインにも
メンテナンスが必要だった
汚れきって
一つ一つの動作が
ギクシャクとし始めて
もう随分の時が経っていた
飛び跳ねながら
渡っていた
岩と岩との間が
ずいぶんと長く
恐ろしいものに思えるようになっていた
結局
私は
そろそろ遠ざかるべきなのかもしれなかったが
それでもなお
すがりついている
その
確たる理由が見つからないのだが
おそらく
見つからないからこそ
すがりついているのであろうと推察されるのである
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