ぶらっくぼっくす/AB(なかほど)
金沢の隅っこ
と言ってもこの中途半端に古い街では
どこがまん中でどこが端っこで
なんて遅々とではあるが変わり続けていて
ただ
最後の文化住宅が未だに壊されずに
次の住人を待ち続けている
用水際に迫り出したベランダの捨て鉢から
野の花が斜めに伸びていて
せめてもと願う気持ちが
部屋の中に未だ消えないままで
消えないままでいるのだろう
未来ってなんなのさ
夢ってなんなのさ
昨日の幸せを振り向けないままで
明日幸せになろうなんて
昭和への思いにうねる道の向こうでは
古い茶屋が瓦礫に変身し
その向こうの田んぼが整地され
輸入風住宅が立ち並ぶ
ここは
僕
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