過疎集落/朧月
 
川から流れてくるものは
木の葉や木々の破片たち
うずまいて うずまいて
深い緑に飲まれます

清らかな水に寡黙な石たちは
もうずっとそこで眠るのでした

おじいさん おばあさん
おかあさん おとうさん
あれあれだあれもいないよう
また眠らねばならないようだ

山は深呼吸の果てに
生み続ける水を
幹からは絶えず空気吐き出され
大気は潤う

私の髪が濡れる
ふいに降りかかる雨に
幾度の昔からのまちにはもう
明かりさえ少ない

街灯の灯は薄くなって
だれかの息遣いもしない
足音遠く響く中想う
失くしたくないという気持ち


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