蝕/
非在の虹
欠ける樹の葉
欠ける歯 糸きりは
葉のしたたり 葉のしずく 葉のたれさがる
その下に
蝕 蝕と影はしたたり 影はかさなり
蝕はかさなり
そのなりに影は震える ゆっくりした震え 機敏な震え
が 交錯する 蝕 蝕と
妻に夫が
かさなる
すべての町で 女と かさなる男 混色
蝕 蝕 しょく しょくしょく
しょく しょくしょく
しょく しょくしょく
と音し
その音に誘われて 地上の生き物は振動する
とまらぬ振動
眼に見えぬくらいの 海のふるえ。
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