海へ行こうと思うとき/ベンジャミン
 
波打ち際で
寄せ返す白線を
追いかけたり逃げたり

入るつもりもなかったのに
いつの間にか裸足になって冷たくて
まくったズボンが不意の波にずぶ濡れて
そういう夏を何度も繰り返していた

あの頃には戻れない自分を
それでも海に連れてきた
波打ち際を遠目に
白線を引いて

越えられないのは歳月のせいじゃない
砂に足をとられてうまく歩けないのも
ただ眺めるためだけに来たんじゃない
無邪気になれない自分を遠く感じても

海を見れば空を見る
空を見てまた海を見る

大きなものをただ大きいと感じる
そんな自然なこころの動きを
ただ自然に感じたいと

涙と似た味がする海
遥か生まれた場所の海
そんなことも忘れてしまうくらい

ただ眩しい光の反射と
潮の匂いに包まれながら

そんな自分を
ただ素直に受け入れたくて
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